1.甲状腺とは 甲状腺は首の前、のどぼとけのすぐ下にある、ちょうちょのような形をした臓器です。 甲状腺は甲状腺ホルモンという生きていくために身体に不可欠なホルモンを作っています。 甲状腺ホルモンはヨードを原料に作られ、代謝(生命を維持するために必要な最も基本になる活動)を調節することが大きな役割であり、車でいえばアクセルのような働きをしています。 わかりやすく言えば、甲状腺ホルモンが足りない状態(機能低下症)はアクセルを踏まず、体の元気が出ない状況で、踏みすぎるとスピードオーバー(甲状腺機能亢進症)ですぐ疲れてしまいます。 最近は健康診断などで甲状腺の腫れを指摘されて病院受診をされる方も増えてきました。 2.甲状腺の病気に関して @甲状腺の機能が低下したり(甲状腺機能低下症)、亢進する(甲状腺機能亢進症)など、ホルモンの量の異常の病気 A甲状腺の中にできものができている病気 の大きく2つに分類されます。 3.甲状腺ホルモンが足りなくなると(甲状腺機能低下症) 代謝が落ちた状態になります。具体的には むくみ、寒がり、便秘、皮膚のかさつき、集中力の低下、脱毛、食欲低下、ひどくなると心不全などの症状がでます。長い経過ですこしずつ症状がでてくるため、周りの人にも気づかれないこともあります。 採血検査でホルモンの値を測ることで診断が可能です。 代表的な病気として橋本病(慢性甲状腺炎)があります。 4.甲状腺ホルモンが多すぎると(甲状腺機能亢進症) 代謝が亢進した状態になります。常にマラソンで走っているようなイメージです。 具体的には 動悸、息切れ、汗の増加、体重減少、手の震え、全身の倦怠感、下痢などの症状が出ます。 多くの方が内服にてコントロールできますが、放射線治療や、手術が必要となることもあります。 5.甲状腺の腫れ・できもの 健康診断で首の腫れを指摘された患者さんは、バセドウ病や橋本病のほかに甲状腺腫瘍が見つかることがあります。触診で確認をしたうえで、超音波で実際にできものがあるのかどうか、甲状腺の大きさは問題ないかどうかを検査します。また、採血で甲状腺ホルモンの異常がないかを調べます。 超音波検査は簡単で痛みもなく、できものの有無をその場で確認ができます。 もし、できものがあった場合には悪性の所見がないかどうか、詳しく検査を行います。 |